企業組合

企業組合って?

「企業組合」ってあまり聞きなれないと思います。
中小企業等協同組合法という法律があり、その中にいくつかの組合が定義されています。
その1つが企業組合です。

その他の組合は事業者を対象としていますが、企業組合は個人事業者や勤労者などで構成させることを大きな特徴としています。
このため、何人かで(最低4人必要です)事業を始めようとする際会社をつくるのはどうも・・・とお考えの方には適しています。

企業組合の特色

企業組合は、個人事業者や勤労者(会社員のことです)が集まり、それぞれのお金と労働を組合に集約します。
それにより、あたかも組合がひとつの企業体になり、事業活動を行うものです。

なお、組合員は前述のほか、学生や主婦なども加入することができ、なおかつ、その事業内容に限定はありませんので、
比較的小規模な事業者が、経営の適正化を図る場合に結成したり、主婦等が、自らの働く場所を創出するために結成されることが増えてきています。


近年では、雇用状況の悪化に伴い、職を失った人たちが、自ら起業し、自らで働く場所を創出するために結成されることが増えてきています。

企業組合をつくるには

最低条件として4人の仲間が必要です。
これは、株式会社等とは異なり、専制的な経営がなされないように出資額の限度が25パーセントと定められているからです。

また、共に働くという特色もあり、原則的には組合員の2分の1以上が事業に従事しなければなりません。
さらに、従事する者の3分の1以上は組合員であることが必要です。
なお、以前は組合員は個人に限られていましたが、組合事業をサポートする法人等も加入できるようになりました。

企業組合のメリット

【最低資本金制度が適用なし】

企業組合に対しては、最低資本金制度が適用されませんので、少額の出資金で組織を作ることができます。
1口の出資金額も自由に設定することができます。

【税制上の優遇措置】

代表理事の変更など法律に基づく登記に対する登録免許税や組合と組合員の問で発行される受取書に対する印紙税が非課税になるなど、
会社には適用されない税制上の優遇措置を受けることができます。
なお、企業組合は税制上、株式会社と同じく普通法人として扱われますが、出資総額が1億円以下の場合には、
年間所得800万円以下の部分に対する法人税については中小法人と同様、軽減税率が適用されます。

【有限責任制度】

無限責任制度が適用される合名会社や合資会社とは異なり、企業組合の出資者である組合員には株式会社と同様に有限責任制度が適用されるため、
組合員はそれぞれの出資額を限度としてしか組合の有する債務の弁済に対して責任を負いません。
合名会社、合資会社は、会社の債務に対して個人の全資産をもって弁済する義務を負う無限責任社員が必要となります。

【組合運営に対する発言権は平等】

株式会社の株主とは異なり、企業組合の組合員には出資額の多少に関係なく、議決権・選挙権が平等に与えられますので、
組織の民主的な運営が確保され、組合員には事業運営に対して平等の権利が与えられます。

【勤労者としての地位】
組合員は株式会社の株主に該当し、企業組合が雇用する従業員ではありませんが、組合員が企業組合の事業に従事したことに対して
受け取る所得は事業所得ではなく、給与所得扱いとなります。もちろん、配当を受けることもできます。
また、事業に従事する組合員に対する社会保険(健康保険・年金保険)制度、労働保険(雇用保険・労災保険)制度の適用については、
原則として勤労者と同様の取扱いを受けることができます。

【営利追求可能】

企業組合は株式会社などと同じく営利を追求できる組織です。
利益は、NPOや中間法人などと異なり、出資者であり事業従事者である組合員に配分することができます。
将来的には、株式会社や有限会社へ組合を解散することなく変更することもできます。

【国、行政庁や専門金融機関の支援】

都道府県、中小企業支援センター、中小企業団体中央会などを通じて、補助事業や助成事業など国の中小企業施策の各種支援を受けることができます。
また、商工中金、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫などの政府系金融機関や都道府県等からの融資を受けることができます。
行政庁(主に都道府県)の認可を受けることが組織作りの要件とされていることから、社会的信頼性が得られるほか、
行政庁や組合などの連携組織専門の支援機関である中小企業団体中央会から、支援・指導や情報提供を受けることができます。