経営事項審査申請
建設業者の施工能力、財務の健全性、技術力等を判断するための資料として、その企業の完成工事高、財務状況、技術者数などの項目(客観的事項)を総合的に評価するものです。
公共工事を国、地方公共団体から直接請負う(元請)建設業者は、経営事項審査を必ず受ける必要があります(建設業法第 27 条の 23)。
建設業許可
建設業許可の種類
建設業の許可の次の組み合わせにより細かく区分されます。
【許可の区分】
営業所の数や所在によって、国土交通大臣許可と都道府県知事許可に区分されます。
さらに、直接請け負う元請工事について、下請人に施工させる額の合計金額により、一般建設業と特定建設業に区分されます。
【許可の業種】
2つの一式工事と26の専門工事からなる28の業種があります。
これらは、相互に独立しており、一部例外を除き、たとえ土木一式の許可を取得していても電気工事ができないのは言うまでもありません。
◆業種の一覧表
- 土木一式工事
- 建築一式工事
- 大工工事
- 左官工事
- とび・土工コンクリート工事
- 石工事
- 屋根工事
- 電気工事
- 管工事
- タイル・れんがブロック工事
- 鋼構造物工事
- 鉄筋工事
- ほ装工事
- しゅんせつ工事
- 板金工事
- ガラス工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- 機械器具設置工事
- 熱絶縁工事
- 電気通信工事
- 造園工事
- さく井工事
- 建具工事
- 水道施設工事
- 消防施設工事
- 清掃施設工事
- 土木及び建築の2つの一式工事は、他の26の専門工事と異なり、総合的な企画、指導及び調整のもとに土木工作物又は建築物を建設する工事です。
原則として元請の立場で総合的なマネージメント(注文主、下請人、監督官庁、工事現場近隣等との調整や工事の進行管理等)を必要とし、かつ以下に該当する工事です。
- 二つ以上の専門工事を有機的に組み合わせて、社会通念上の独立の使用目的がある土木工作物又は建築物を造る場合
- 必ずしも二つ以上の専門工事が組み合わされていなくても、工事の規模、複雑性からみて総合的な企画、指導及び調整を必要とし、個別の専門的な工事として施工することが困難であると認められる工事
- 一式工事の許可を受けていても、関連する専門工事の請負はできる訳ではありません。専門工事だけを請負する場合は、専門工事について許可を受ける必要があります。
例えば、建築工事業の許可を受けている建設業者がインテリア工事を請負う場合は内装仕上工事業の許可が必要となります。
業種の選択
建設業種は細かく区分されていますが、どれでも好きなものが取得できるのでしょうか?
実際は、各業種ごとに資格要件が異なり、自由に選べるというものではありません。
建設業の許可を受けるためには、建設業に共通の要件と、各業種ごとの要件の確認が必要です。
許可の要件
建設業の許可を受けるためには、次の5つの要件を満たすことが必要です。(一般建設業の場合)
【建設業に関する経営経験】
1つめの要件は経営業務の管理責任者の存在です。
建設業の許可ではもっとも苦労されるところと思われます。
法人の場合には常勤の役員のうち1名が、個人の場合には本人もしくは支配人が、許可を受けようとする業種について次のいずれかに該当することが必要です。
ア | 5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有すること |
イ | 許可を受けようとする業種以外の業種について、7年以上経営業務の管理責任者としての経験を有すること |
ウ | 経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって次のいずれかの経験を有すること |
a:経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験 | |
b:7年以上経営業務を補佐した経験 |
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7年以上経営業務を補佐した経験
【資格・実務経験等を有する技術者の配置】
2つめの要件は専任技術者の設置です。
専任とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事することを要する者をいいます。会社の社員の場合には、その者の勤務状況、給与の支払状況、その者に対する人事権の状況等により「専任」か否かの判断を行い、これらの判断基準により専任性が認められる場合には、いわゆる出向社員であっても専任の技術者として取り扱います。
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し、次のいずれかに該当する専任の技術者が営業所毎に必要です。
ア | 5年以上又は3年以上実務の経験を有する者で一定の要件を満たす者 |
イ | 10年以上実務の経験を有する者 |
ウ | 許可を受けようとする建設業の種類に応じ、一定の資格を有する者 |
【財産的基礎・金銭的信用を有すること】
3つめの要件は財産的基礎・金銭的信用があることです。
申請者が請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこととし、申請時点において、次のいずれかに該当する者は、倒産することが明白である場合を除き、この基準に適合しているものとして取り扱います。
ア | 直前の決算において、自己資本の額が500万円以上であること。 |
イ | 金融機関の預金残高証明書(残高日が申請日前4週間以内のもの)で、500万円以上の資金調達能力を証明できること。 |
ウ | 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること。 |
- 【自己資本】とは
- 法人にあっては貸借対照表における純資産合計の額をいいます。
- 個人にあっては貸借対照表における期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額をいいます。
【建設業の営業を行う事務所を有すること】
営業所は、原則として以下のすべてに該当することを要します。
ア | 事務所など建設業の営業を行うべき場所を常時使用する権原を有していること |
イ | 建物の外観又は入口等において、申請者の商号又は名称が確認できること |
ウ | 固定電話、事務機器、机等什器備品を備えていること |
エ | 許可を受けた建設業者にあっては、営業所ごとに建設業の許可票を掲げていること |
オ | 支店等の代表者が常勤しており、かつ契約締結等に関する権限を申請者から委任されていること |
カ | 専任技術者が営業所に常勤して専らその職務に従事していること |
【欠格要件等に該当しないこと】
申請者が一定の欠格事由のいずれにも該当せず、かつ、許可申請書及びその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載がなく、並びに重要な事実の記載が欠けていない場合、基準に適合しているものとして取り扱います。
法改正情報(平成24年11月1日)
社会保険等の加入について
許可行政庁が申請時に、保険加入状況の確認、指導等を行うため、健康保険等の加入状況を記載した書面の提出が義務づけられました。